2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

受難節に

あなたの傷は愛であると あなたの血は赦しであると 十字架が、道筋を創ってくれたのだと 教わりました。 ああ、しかし、 傷だらけのあなたの目を真っすぐに見つめられない わたくしが おります。 茨の冠を被せられ赤紫の布を着せられたあなたの 傷だらけの頭…

ペパーミント

枕元でペパーミントが香るなか、 ただ しずかに 横たわる。 パステルカラーの夢が見たいんだ 刻々と変化する淡い色たちの饗宴 はるのうたげ 今日も私は横たわりながらも生きていて もちろん、あの人も生きている。 その奇跡 その歓喜 ペパーミントがもっと香…

まるくなる

ふとんのなかで ねこのように まるくなる むりをせずにくらす ということは あるとき とてもむずかしいかもしれないが それでも いまはまだ むりをせずともよいとき まるくなる からだを ちいさくまるめて こころを だいじにだいじにまるめる せんさいなてつ…

陽射しがうるさくて 瞼を閉じると、 裏側に 数え切れないほどの、 赤!赤!赤! 紅色! 朱色! オレンジ! パープルピンク! 目まぐるしい速度で色が変わってゆき、 そして、 常に存在する 赤黒さ! 今日も私の身体には 滔々と血液が流れて どこもかしこも鼓…

吐瀉

鮮やかに赤い トマトの皮のひとかけらが、 ひらりと 花びらのように光った。 便器の水の上で 重力に反して出てくる 生命の営みに反して出てくる 咀嚼された野菜たち 咀嚼されなかった米粒や鶏肉の皮 ああ、ああ、 私をかたちづくるべきものたちが 愛すべき我…

明晰夢

ほんとうに ふしぎな夢だ 夢か うつつか わからないなんて あまりにも輪郭の太い まぼろし 夢と うつつとの 境界線は きっと曖昧で そうなると 過去の記憶と 現在との 境界線も きっと曖昧だ。 あの いまいましい記憶は すべて まぼろし! 黒板消しでこすっ…

恋してしまった! と、思うのだが、 心のはたらきはどうもめんどうで、 認めたくない小人が腹を立てているようだ。 いま、 私の心の中に棲む 小人たちが 盛大に、会議を催している。 私は、 何も考えることなく、 春の夢に溺れて眠るとしようか。 春の夜の夢…

信仰

いつのまにか 心の底に ちいさく 芽生えていたものが 蔓を伸ばし 心ぜんたいを覆った 私は がんじがらめになって 動けなくなってしまった しかしそれでも うまく 庭師のように手入れをして この信仰を 育てつづけよう 生きる 力 である ひかり である 壊れて…

動けないとき

動けないときは 半分、動きたくないときでもあるが そうはいってもやはり 動けないときなのだ 執拗に自己を責めることは止めて 動けるときが来るまで じっと動かずに待つこと ずっとこのままではないのだから 考え事をしよう 良い、考え事をしよう

鮮やかに彩られた何か 毒々しいほどの香りをふりまく何か 熱帯雨林の奥底でぼっかりと口を開けて待っている粘ついた液を出す何か 女が恐ろしい 女の鮮やかさが恐ろしい 私はそれと対面したくなんかないのです

猫のような

猫のような無邪気さで 布団にくるまる 暖かいものに寄りつきたいのだ 真っ黒なアイラインを強く引いて 黒目がちに見えるような化粧をして 私は 猫のような自由奔放さで 外の世界へ出てゆく。 猫のような謀られた上目遣いで もう一度 あの人を見たいのです。

胎児の姿勢で

動かず静かに 胎児の姿勢で横たわる 守るものなど何もない あえて挙げるならば、 己の肉体と精神だけ。 暖かくくるまれて 胎児だ 私は胎児だ 幻想に、手足をばたばたさせてみる。 欲しいものなど何もない あえて挙げるならば、 安定した、穏やかな 己の肉体…

ことば

ことばが こぼれ落ちてゆく 吐き出す場所がないと 世の中に繋がっていないと 私のことばなど ちゃちなものだが 外へ出してやって 跳びはねて遊んでもらわなければ この、どんより曇った脳味噌に 閉じ込めておいてはいけない さあ! ことばたちよ! 思うぞん…

予感のようなもの

すでに、 私は あの人に つよく 惹かれてしまっていて どうすればよいのか わからなくなりそうです。 そんな ぼんやりとした 予感のようなもの 身体の芯からの 芽吹きを 息吹きを 感じます。 すくすくと根を生やし伸びていく 私は それをいつくしみ いとおし…

猫の恋

春風とともに 恋しい気持ちがやってきた ふわりふわり ふわふわり 何をしようというのでもなく 横たわったままなのに ゆらりゆらり ゆらゆらり しあわせな気持ちのプールに 丸まって潜っていようか 外の声はぼんやりとしか聞こえない ベールがかかったように…

怒り

限りない怒りを 社会への鬱憤を どこにぶつければ良いのか 途方にくれる 小学校の後輩は暴走族同士の決闘で補導され、かつての教え子は窃盗を数十回と繰り返し逮捕された、就職も決まっていたというのに…! 私に何ができよう 祈ることしかできない 明らかに…

起きられない

まだ 起きられない いまだ 起き上がれない ゆっくり覚醒を待って 時が来たらヨガをしよう 身体の目覚めを待つ じっと、ただ待つだけの時間

春うらら

レースのカーテンごしに 陽光が 部屋をあたためてくれます ぽかぽかと ああ、眠い うららかだ 三月がやって来た 春は来ぬ

アクセス

身体を可能な限りリラックスさせて 果てしない階段を降りていくように けっして踏み外さないように 地下へ 地下へ 潜る。 意識から無意識へと、アクセスするんだ 身体と脳味噌をうまく使って 「本日の夢は何がお好みですか? こちらにメニューがございます。…