2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

よばれて

かみさまはずっとわたしたちを まいごになったわがこのように いつもよんでいます。 よばれて よばれて ふあんなよるにはかたりかけられて ここまできました。 かみさま よばれて わたしは生きてきました。

はなす

ただ、はなすだけで こころがおだやかに そして、クリアになります。 おちついたので ねるまえのおいのりを たくさんしたのです。

さびしがりや

さびしがりやも あきれかえるほどの さびしがりやだなあ しっかりしなくちゃ しっかりしなくちゃ と、となえる どんどん たよりきってしまう

ことばのふりかけ

ろくな人間じゃねえ 面と向かって「死ね」だなんて かんたんに言ってくるやつは いつ自分が自殺してしまうかもわからない恐怖に陥ったことがあるのか? 生と死について一度でも真剣に考えたことがあるのか? ふりかける わたしは あいのことばを ふりかける …

問答

どうしてあなたは、オーボエ奏者でありながら、リードひとつ作れないのですか? 刃物が怖いからです。 なぜ刃物を怖がるのですか? 見たからです。 何を? みずからの手でみずからの首を切りみずからの命を絶とうとした人を見たからです。 流れ出して止まら…

崩壊

目眩がひどく 立ってリードを吹くことさえままならぬ おれはオーボエ奏者なのか 音楽家なのか ああ 情けない 練習室の冷たい床に倒れこむ 崩壊していく自我

うしなう予感

しあわせを ぐうぜんにも 得てしまったので うしなう予感の うしなう不安の おそろしさが 暗い物陰から鋭い目つきで私をじっと睨みつけている黒猫の目は夜を反射して緑色に光るふたつの目ふたつの目増殖してたくさんの目になる目の海の中で私は溺れて沈んで…

すくい

てんのおおきなあいが きらりきらりとおちてきたのを しらずしらずにいただいて けもののようにむさぼって わたしは だんだんとけんこうになりました。 てんのおおきなあいを ほんとうにしったあとに はじめて わたしはひとをあいする。 わたしたちはにたも…

クロエ

身体が動かなくても 呼吸が浅く不安定でも ひとりのひとの寝顔を 安らいだ表情を眺めて しずかに、ほほえむことができる。 しわしわになっても 一緒にお風呂に入ろう という 約束は泡のように消えてしまった あとには、何も残らない。 かなしい あいの えい…

おなかのうえに

きのう わたしのおなかのうえに おおきなてのひらがあって、 ようやくねつけるまでずっと とてもあたたかかった。 アダムのあばら骨から創り出された時代から女は女であって強さも弱さも併せ持つが最も喜ばしいことは新たな生命を産み出せるということです。…

存在

あなたの存在が わたしが生きていること にんげんとして にんげんのおんなとして 淡く青白く発光しながら 生きていることを より、リアルに近づける。 わたしの影は白に近いグレー どんな眩しい陽射しもかなわない 地面からいつも少しだけ浮いて 夢遊病のよ…

日々の点が

悪い時代だからこそ 奇跡を求めなさい。 と、聖書には書かれているようです。 悪い時代だからこそ 気づかぬ身のまわりに 奇跡となりうる原石たちが ざわざわと 磨かれるのを待っているのでしょうか。 日々の点が線となり、 やがて確固とした面となる。 それ…

破片

痛みと共に押し出される血塊が子宮の破片が少し前までは憎らしくいとましく忌み嫌われるべき存在であったが今腹痛と共存している私の身体はスプリングのよく効いたベッドの隅で静かに飛び跳ね破片は痛みと共にきらきらと落ちていく。それは死しか無かった人…

しろいあさ

しろいひかりが カーテンの隙間から射してきて もうすぐ電車が走る。 オールナイトで飲んでいた若者や これから出かける労働者を載せて 男の愛を受け止めきれずに 私は駄目になるのではないか と、恐れていた。 しろいあさ しろいひかりに そっとてをのばす …

しろいひかり

今朝も私は しろいひかりを掴もうとする カーテンの隙間からさしこむ 淡くてもろいひかり「目のくらむような永い年月」が 若い私には想像もできないので ただ すこしだけ かなしくなるしかない すこしだけ。 しろいひかりが 片手の中にあるうちに ガラスの鳴…

背中

今朝の夢に あなたの背中の感触が出てきたとき 私は つい、名前を呼んでいたのです。 喉が渇いていて声にはならなかったけれど 今 ここにある背中は あなたのものではなくて あなたは地球の裏側で ずっと歩き続けている 姿勢良くリズムを刻みながら あの冬と…

ひとりの

ひとりのにんげんは ほんとうによわいものだ 昨日まで隣で寝息を立てていた人がいないという、ただそれだけのことで。 精神科医は「あなたはひとりぐらしには向いていないからシェアをしなさい」と言った。卒業式の前だったか、後だったのか。白い部屋古ぼけ…

細い木であるわたしたちが

男の流した とうめいななみだを やさしくぬぐうことしか わたしにはできずにいて かみさま あなたにむかってわたしたちは できるかぎり正直であるように 手をかたくむすんで まぶしく目をこらしています 細い木々だったわたしたちが やせ細った枝と枝をしな…

早朝

いとしいひとの 少年のような 無防備な ねがお が ぱりん、と音を立ててガラスの破片のようにこなごなになってしまうのではないか、という ささやかな不安。 遠くでサイレンが鳴っている ガラスがけたたましく吠える 早朝である わたしは 耳に栓をして しず…

「おめでとう」

病気は回復期に確実に入っているのだから何も心配することはない。 なのにまばたきめまいいきぐるしさだるさ、うごけないからだ、ああ。 何も心配することはないのだから 依存してしまうこともない。 もしも その人が どこか遠くへ行ってしまったら。 地球の…

生活の中で

恋と仕事のどちらを取るか、 そんなつまらぬ痴話喧嘩のような命題に 正直なところ、 自分には長いこと まとわりつかれているのではないか。 「音楽の神様に嘘をつきたくない。」 を、貫き通しておかしくなった時代もあったけれども、 やはり、 「何よりも音…

それでいいの?

「それでいいの?」という無責任に放り投げられた尋問にわたしは、 空中に薄く残ったままの放物線の弧をじっと眺めては、俯いて黙るしかなかった。 人生において選択なんていうものは、すべて自分で決めてきたような気がしていたけれども、それはまぼろしで…

「おんぶらまいふ」のように

小池昌代「おんぶらまいふ」のように あの美しい詩のように いつか しあわせを 懐かしく切ない瞳で眺めかえす日が来るのだろうか 過去に置いてきた小箱を。 つい、この前までは、眺めかえすのが好きだった。味わいながら咀嚼しながら、何度も口に出して読み…