「おめでとう」
病気は回復期に確実に入っているのだから何も心配することはない。
なのにまばたきめまいいきぐるしさだるさ、うごけないからだ、ああ。
何も心配することはないのだから
依存してしまうこともない。
もしも その人が
どこか遠くへ行ってしまったら。
地球の裏側では
まだ太陽が眩しく陽射しを投げて
彼の誕生日はまだ続いていて
そうだ、
25歳になるのだ。
6年間が経って
また
ようやく
この町に戻ってきたことや
電車の音がときに過去を運んでくること
それでも
今年は
「おめでとう」を言わなくたって
生きてゆける。
誰かをじっと待つために
この町に帰ってきたわけではなくて
やはり、この町を愛するからこそ
還ってきたんだ。