背中

今朝の夢に
あなたの背中の感触が出てきたとき
私は
つい、名前を呼んでいたのです。
喉が渇いていて声にはならなかったけれど



ここにある背中は
あなたのものではなくて
あなたは地球の裏側で
ずっと歩き続けている
姿勢良くリズムを刻みながら
あの冬と同じように
あの冬と同じように


やはり心のどこかで
待っていたのだ
それはあなたではなく
ともにあった幸せな過去たちを
ずっと
待っていたのだ
何年間も
何年間も
少しずつ腐る林檎のように病みながら
待っていたのだ


背中が裏返されたときに
私は夢の話をして
もう一度夢の中へと戻ったのです。


 もう、大丈夫です。
 もう、あなたを待ちません。


そう、
伝えてきたのです。