螺旋階段

はてしない深さの螺旋階段を一歩一歩下りていく。ことり。ことり。ブーツの踵が妙に気弱だ。ことり。ことり。ぎしり。「下から蝋燭を手に、誰かが上ってきます。さて、どういう人物かイメージしてください。」昔、小学生の頃読んだ心理テスト。手すりに捕まりながら、不安定なリズムで私は歩き続ける。ことり。ことり。「正解は、未来のあなたです。」その、無邪気さよ。幼い私はどんな未来の自分を想像したのか。螺旋階段を、どこまで下れば無意識に到達できるのか。わからない。手がかりはない。人の気配ひとつしない。下りていく。ことり。ことり。夢に潜って下りていく。ぎしり。ことり。ことり。