這い上がる

あの頃
去年の2月から3月にかけて
私は、確かに、
地獄を見た。
底を見た。
この上なく苦い胆汁を飲み下し続けた。


寝たきりを経由したことは
そう大げさに言いふらすことではないが、
これからの人生
「身体をうまく動かすためにどうするか」
少しずつ、自然と試行錯誤してきた。
これが、
身体に負担をかけやすいオーボエという楽器の
年端もいかない子どもたちへの指導、
ひいては
私自身の演奏に大いに役立つことでしょう。


今日も
目覚めて
寝床の中でさまざまな筋肉を伸ばす。
背骨の在りかを確認する。
こうして私は生きている。


起き上がったら、
大きく伸びをしよう。