投石せよ 2

ならば、私が石を投げよう。過去の忌ま忌ましい出来事たちに。できるだけ硬そうな小石をこの足元から拾って、力いっぱい投げよう。「放物線というのはだね、こうやって、」と教師がチョークを天井にぶつけてしまった、あの数学の時間のようにでなく。まるまるふとった放物線を描くよう。はりつめた弧を描くよう。全身の筋肉を使って、大気中にうつくしい線をたくさん残そう。
カシャン!カシャン!と音を立てて、うすいガラスのように、記憶は割れていった。
(私が 過去を 壊した !)
一連の出来事は一瞬で、私はそれに「儚い」という形容詞を当てはめたくなんかなかった。
(私が 過去を 殺した !)