まじわる

白い陶器のランプの水面に
スポイトで ぽん と
オイルを垂らします。


わたしのすきなかおり
あなたのすきなかおり
すべてが
ぐちゃぐちゃになって
まじわりはじめる
時間軸が蕩けはじめ
次元が 形而上の境界線が
夢が うつつが
まじわる
まじわって
うつくしい
あいらしい
なにかになる


それは
わたしの吐息でしょう
それは
わたしの音色でしょう


かきまぜる必要などなく
自然に まじわってゆく
虹色のみなもに 願いを託す
ちいさな しろい たまごのような
われやすい あたたかな 希望を託す


春の においがします。
かすかな 足音がきこえます。
遠くから やってくるのだ。
あなたは やってくるのだ。


まじわる
わたくしたちは まじわる
そう 決まっているのだ。