あこがれ

春の風が
あこがれを運んできて
カーテンのレースの隙間から
私の心に、
刺していく。
細い、ひかりの、銀の針


針だらけになった心臓は
もはや 鼓動さえ困難で
破裂を待つゴム風船のようだ
 飛び散る、赤い、鮮血を、想う
 生の血
 とれたての血
 獣たちの舌なめずり


苦しい。
息ができないので
あこがれが
つよい想いに変わってゆくので


 会いたいのです。
 会いにゆきたいのです。
 あわよくば、独占したいのです。


狂った時計のように
エゴイズムが走り続けて
私は、一本一本、針を抜こうと試みるが
心臓が今にも踊りだしそうで
もはや止められない。


私は、あこがれに、縛られてしまった。