2008-03-26 小さな官能 寂れた温泉宿の脱衣所で 小さな女の子が 無邪気に扇風機に向かって 躯を開いている。 雫は払われて飛び散り、 私は無言で髪を乾かす。 その まだ熟れぬ桃のような すべすべ生えた毛並みのような 内側からじゅくじゅくと産み出される 甘みのような 小さな官能を 私は、沈黙して鏡越しに見つめた。 桃は、息をひそめぬまま 大胆に寝転び寝巻きを着て、 暖簾の向こう側へ 消えた。 雫が、落ちている。 私は独りで 扇風機を強にして 思いきり躯を開いた。