手首の脈を深く切ると
ほのかに
あおじろく
ひかる
血が、
ヨーグルトのようにもつれて
決壊し、流れ出す


 舐めなさい。
 しゃぶりつきなさい。


くちびるが
どんな夜空の闇よりも
蒼く 染まり
唾液と混ざって
ぬるぬると垂れて
ギラギラと輝く
くちびる!


 美味しいですか?
 とても美味しいです。


傷の中から
スパンコールのかけらや
レース編みの糸屑が飛び出して
くちびるは
どんどん
デコレーションされていく


 美味しいですか?
 はい、とても美味しいです。


今度は、くちびるが食べられる番です。
順番なのですから。


 美味しいです、
 とても美味しいです。