傲慢なこと

もしかしたら
私ならば
あの人を救えるんじゃないかと
思っていました。


 悪いことはもうやめる
 あたたかい家庭をつくりたい


そういう横顔がちらりと見えたので、
あの人の危険さも腹黒さも
長い付き合いでわかっていたのに
どうして、
そんな傲慢なことを思ったのだろう。


 ひつようとされたかった
 わたしは ひつようとされたかったのだ


孤独と飢えでがりがりと壁に爪を立てる
私の醜い何もかもは
あの頃から少しも変わってはくれない