遠い記憶による蹂躙

お皿を洗うときの水流の太さや
お米をとぐときのこぼさない気迫
ジャムの瓶が開けられなければ包丁で叩く


そんなことを
ふと台所仕事をしながら
思い出すのです。


私たちは
虐げられて生きてきたうえに
これからは
記憶に蹂躙されて生きていくのか


いや
記憶は
削除ボタンを押せば
ゴミ箱の蓋が開いて吸い取ってくれる


記憶は幻
記憶は


今、すべきことに取りかかれば、蹂躙などさせるものか。