黒い靴

黒い靴と黒い服と
私は常に死の影や
別れの記憶とくらしてきたのだった
それが
男といる限りは
生への醜いまでの執着が
蔓を伸ばすように日々育っていた
私たちは世代を受け継ぐように生きて
半透明の死んだ自らの肉体と
鏡ごしに寄り添い
石段をことことり降りていくように
毎日を
すごす
日々少しずつ死んでいく
死の中にすべてがくるまれている
けれども
男とくらせるならば
そこには小さな希望が灯っている