2008-11-24から1日間の記事一覧

いびき

年をとったなあ、と思う。 男のいびきが、憎らしくも少しだけ愛らしい。 空がもうすぐ白くなって車たちが動き出すのに、 ここにはあたたかい時間がゆっくりと流れている。 このまま時を止めるには 命を絶つのが最適ではないか という私の狂気 カーテン越しの…

天使の糸電話

白い小さな天使たちが、私の手元にふわりと集まって、携帯電話に不思議な魔法をかけてくれた。クリスタルのハンドベルみたいな、奇妙な形の電話機。 一緒にいましょう ずっと一緒にいましょう わたあめのような白い雲から紡いできた糸を持って、天使たちは走…

くるくる

くるくるまわる はげしくまわる 風見鶏の羽根がもげる つよいかぜ わたしは くるった おんなです ひとりにしないで ひとりにしないで ひとりにしないで くるくるまわる ゆっくりまわる 力いっぱい小麦を挽くように 骨を潰してゆきましょう ごりごり砕いてゆ…

北風

強い北風が、窓ガラスをどおんどおんと叩いては走り去ってゆきます。おうちでひとりぼっちの坊やは指をくわえて、ときどき白い息を窓に吹きかけてみるのでした。街はまるで灰色の塵が積もったようです。「ほうら、ごらん、あそこにママがいるのだよ。」北風…