螺旋階段をずうっと降りた
地下室に閉じ込められている
あの方は、だあれ?
お父様。
痩せこけた頬
伸びきった髪の毛と髭
躯は汚れて獣の臭いがする
足に掛けた鎖は、
外しては、あげられないのね?
お父様。
あの方は、だあれ?
お父様。
長い蝋燭を一本手にして
一段、一段、降りてゆくわ
あの方に、会いたいんですもの!
お父様。
黒い髪
その乱れを私の細く白い指でとかしてあげたい
黒い瞳
その奥に映るものをずっと見つめたい
私の瞳にしてしまいたいの!
渇いた唇
ああ…!
あの方は、だあれ?
お父様。
地下室へ、降りてゆくわ。
どうか、お止めにならないでね、
お父様。