ささやかな飛翔

いざ はばたいてみれば
それはそんなに
つまり予想していたほどには
よろけることはなかった。


不安や恐れよりも
空の青さが 光の眩しさが
からだぜんたいを よろこばせた。


その歓喜 そのかがやき ひかりよ


よろめき ふらつき ときには低空飛行
これからもそうやって
毎日を飛んでいくのだろう。


 小学校の卒業文集の表紙には「飛翔」と書かれていて
 高校の卒業式では「人間万事塞翁が馬」という言葉を習った。


はじまった このはばたき。
つばさを休めながら
巣に帰りながら
少しずつ 少しずつ 前へと飛んでいこう。


大丈夫。
ひとりではないのだから。
私はもう飛べる。飛べるんだ。