他人

幸せになれる保証書を得るために、事細かな履歴書が必要なのだったら、私は、書類を揃えることもできない。


 サイレンの中で
 にぎりしめた手


 花火と愚かな言葉
 優しさへの裏切り


明るくなりかけた部屋の、ざらざらとした壁に細い手首を添えると、心の奥底が白い皮膚から流れ出る血を望んでいるのだ。


隣で寝息を立てる他人は、私が震えるとそっと髪を撫でて、私の名前を呼ぶ。


一緒にいると幸せで穏やかな気持ちになれるので、私たちはもう、他人ではない、と彼は言う。