しろいそらに

今頃男はふかふかした暖かな寝巻きを着て、スプリングのよくきいたベッドに横たわって、大きな足を暖めながら眠りについているのだろう。
男の部屋のベランダからは朝の白い空がよく見える。雀の鳴き声。射し込む光。いつもと変わらない朝だ。
男の横顔は光に当たって彫刻のように見える。長い睫毛など朝の光のしずくをぷちん、とはじき飛ばすように伸びている。淡々としながらもリズミカルな眉毛の生え際。頬のふくらみで陰影ができる。


音楽に光と影を取り入れたのは、誰?
この世界に光を創ったのは、誰?


朝の男の横顔を、私はいつもくっきりと思い出すことができる。男に光を与える朝の白い空に、いま、昇華して融けることはできないだろうか。
私は、光の粒子となって男の横顔を自由自在に滑走する。男は、眉間にしわを寄せて小さくうめいてから、ひとつ寝返りを打つ。