誰もいない
物音ひとつしない
大きな 蓋付きの 白い紙箱に
閉じ込められた
暮らしを 想う


叫び声は吸い込まれ
見事にパッケージされた
私 という物体


赤いリボンが 頑丈に結ばれてゆく
美しさとは裏腹の 強固さ


私 を誰に贈るのですか
私 を誰が待っているのですか
開かれたとき どんな表情を作ればよいのか
私 は物体でしかないのだから


ああ、
暗い。
吐息は ささやかな湿気となって 紙の壁を濡らす。
ほのかに 天井の隙間から 光が降りてくる、
霧のように ぼんやりと。
埃が舞い上がるのを じっと眺める。
それは、
私 が生命である 最後のあかし。