2008-01-01から1年間の記事一覧

ささえ

お互いがお互いを支えているという これ以上にない善いつながりは 誘惑に負けることがなく 堅く築かれて倒れることがない。 一時の感情で流されるものか 私たちは家族になれる。

いたみ

過去のあやまちを赦してください 弱い私をどうか赦してください そして あの中では仕方なかったのだと 笑い流してください いたみがむねをさす しんぞうがはりやまのように ぷちん。 誰とも比較しないのだ 過去とも、何事とも、比べないのだ とにかく 今はと…

隣にいられない 週末の夜更けにも 携帯電話の向こうの あたたかい声。 遠くの寒い町 私の知らない町に 男は立っている 冷たく、しかしおだやかな風が吹いている 一緒に歩いてゆける 一緒に生きてゆける さまざまな困難を乗り越えてゆける わたしのかたいかた…

螺旋のような上昇

昔習っていたピアノの先生のことば 「上達は、螺旋階段みたいなものなのよ」 十年経った今でも、母との電話で、恋人との会話で、思い出すのです。 螺旋階段を築きあげる。ぼんやりとした色彩、ふわふわする不安な触感の段たち。ジャックと豆みたいに空をつき…

ささえあい

ささえあって 生きていきたい そう、思うのです。 「よりかからず」でも「共依存」でもなく、ひとりの人間であるお互いを尊重しながら、尊敬しながら、苦手分野をサポートしていく。そんなふうになりたいのです。 そういうことが 結局幸せだったなあ と語る…

死、眠り

生きる価値のない者は死を選ぶべきである、よって私は何も食べるべきではなく日に日に弱り消えてゆくべきである 窓から光は射さず横たわっていた。手首と足首がやせ細り、動けずにいた。 生きるべきではない 生きるべきではない 生きるべきではない 反芻 朦…

気泡

掌と掌のあいだの 卵をくるむような やさしい空間に とじこめた気泡が 炭酸水のように はじけて消えてゆくまた掌たちの 生みだす熱が 際限なく私たちの つくりだす体温が 泡をぱちぱちと飛ばす 一緒に生きるということとは。 今、一緒に生きているということ…

くらし

ただ もたれあい つぶしあってゆく のではなくて おたがいの よいところを できることを のばしてくふうして そうやって くらしてゆけばいい だからわたしは しあわせに くらすことができる。 いきることができる。

うちゅうのはて

よわよわしい ひかりと よわよわしい ひかりが たがいを てらしあい あたためあっている とおい とおい うちゅうのはて むくどりの翼のように 卵をやさしくあたためるように 載せられる腕の重み とおい とおい うちゅうのはてに せかいをつくった あなたはい…

小さな寝台

この 小さな寝台で 私たちが しずかに腕を絡めるとき、 かすれた色の山々に黄砂を含んだあつい風が吹く。 私たちが しずかに手を繋ぐとき、 指の鼓動は水滴に変わり関節という関節からみどりが芽吹き出す。 この 小さな寝台で 私たちが まるく背を向け合って…

ひかり、よろこび

あなたがいないとぼくはまるでだめになってしまいます。 目に見えるものたちが 鮮やかな色をまとい その生命力を誇示せんとばかりに 光さえも…! あなたがいないとぼくはまるでだめになってしまいます。 生きている歓喜 ふれあえるやすらぎ 変わらぬ愛、とい…

あさのそら

あおじろい そらのすきまに まいぼつ してしまうきょうふ めいめつ ひかり つかみとる わたし かいめつ きぼう うしなわずともよい あなたがいる

人間の距離

ふと 気づくと 心の距離が離れている 私たちは人間どうしだから 繋がっている糸は細くて脆いのだ 永遠に変わらぬ愛などあるのか それはやはり あなたに頼るしかないのだ すべてをお委せするしかないのだ あいします あいしてください どうか

さまよい

前を見て歩いているのだ ゆっくり歩けているのだ と、 思っていたのに どうしてなのか さまよい歩いていました。 森の中は暗くて光の一筋も見えずどうどうめぐりを繰り返す。木々のざわめき、鳥たちの歌声、獣のひそやかなたくらみ。 生と死のあいだを 未だ …

あぶく

川底から立ちのぼるあぶく 太陽を銀色に反射する魚たちの呼吸 削られてゆく小石 しずかな水の音 あぶく この幸せな時間たちが もしも あぶくのように 消えてゆくものなのだとしたら 私はそれからどうやって 生きていけばよいのでしょう

夢の最後

夢の最後の雲行きが 少し暗かったような気がした 私は今誰の隣で眠っているのだろう と、いう不安。 目を覚ますと、 とってもやさしい人が そばで眠っていた。

苦味

口の中に苦味が広がって、ようやく薬が効いてくる。白い朝、ひかりに縛られていたい朝、安心して手足を投げ出そう。始発が走っている。私は生きている。たくさんの味方がいる。大丈夫。大丈夫。大丈夫。

水の音

モニタ越しに男の声をたっぷりと陽に当たるように聴いて、男の笑顔からつよい、ちからづよい支えを造りながら、私は眠りにつこうとする。 テレビは仮想の水槽になって、色鮮やかな魚たちがゆっくりとおのおのの好きなほうを向いてたゆたっている。魚たちの呼…

不眠症のくすり

ひとりのにんげんが 隣ですやすやと寝息をたてている そのささやかで あまりに日常的かもしれない おだやかさ しっかりと目をつむろう 記憶の糸をたぐりよせて 遠い部屋を思って 「神様はよい計画をお持ちです。」

ねがい

しずかな おだやかな こころがほしい あわただしさは もういらない ただ 平凡にくらしたい くらしのなかの ささいなものごとをつかみたい けれども、 舞台の上の眩しいライト。 ひらひらのドレスを着た私。 客席の後ろまで響かせる。 その 麻薬のような快感…

ずっと、音楽ばかり考えて猛スピードで日々を送っていたので、病によって音を聞くことすらできなくなったとき、私は生きる意味を失いました。楽器にさわれないということは、私にとって即ち死を意味しました。 生きていた。 生き延びていた。 私は、誰も殺さ…

ゆっくりと

考えてみれば私は、できるはずもない幻のような自立という言葉に怯え病んでしまったのだった。 ゆっくりと大人になろう。ゆっくりと。

音楽家

「音楽をやめることはできない。君は死ぬまで音楽家だ。」 明け方 そんな言葉が頭をめぐり しろいひかりに目をこらす ずっと私は音楽家でいよう。 死ぬまで音楽家でいつづけよう。 三流だとしても、それ未満だとしても。 ゆっくりと自立してゆこう。 音楽家…

男の声は いつもやさしく穏やかで 携帯電話から耳たぶを撫でるように 私の小さな鼓膜を振動させる すずめが カラスが 鳴き始める時間に 踏切がしきりに叫びだし 始発が走り出す時間に 不眠症の私は なめらかでたまにかすれる 男の声を聴く きっと心地よい眠…

日々のくらしに

男と出会ったことで 日々のくらしに、ちょうど ちゃぽん、と小石が投げ込まれたような 変化が訪れた。 「その日にできることをやろう。」 外に出られずに家の中にいても 洗濯や料理や掃除や かんたんなことで しあわせに感じられる 男のおまじないだ。 今、…

よばれて

かみさまはずっとわたしたちを まいごになったわがこのように いつもよんでいます。 よばれて よばれて ふあんなよるにはかたりかけられて ここまできました。 かみさま よばれて わたしは生きてきました。

はなす

ただ、はなすだけで こころがおだやかに そして、クリアになります。 おちついたので ねるまえのおいのりを たくさんしたのです。

さびしがりや

さびしがりやも あきれかえるほどの さびしがりやだなあ しっかりしなくちゃ しっかりしなくちゃ と、となえる どんどん たよりきってしまう

ことばのふりかけ

ろくな人間じゃねえ 面と向かって「死ね」だなんて かんたんに言ってくるやつは いつ自分が自殺してしまうかもわからない恐怖に陥ったことがあるのか? 生と死について一度でも真剣に考えたことがあるのか? ふりかける わたしは あいのことばを ふりかける …

問答

どうしてあなたは、オーボエ奏者でありながら、リードひとつ作れないのですか? 刃物が怖いからです。 なぜ刃物を怖がるのですか? 見たからです。 何を? みずからの手でみずからの首を切りみずからの命を絶とうとした人を見たからです。 流れ出して止まら…